はじめに

医薬品の出荷調整が、今も続いています。

一つの薬の出荷調整がようやく落ち着いたと思うと、
また別の薬が入らなくなる。
最近は、そんな状況を繰り返しています。

特定の一剤だけの話ではなく、
さまざまな医薬品で出荷調整が起きており、
現場ではその都度、対応を迫られています。

中でも、最近影響を感じているのが整腸剤です。
ミヤBMが出荷調整となり、
代替としてビオスリー錠やビオスリー配合散へ
切り替えが進みましたが、
そのビオスリーも十分に入ってこない状況が続いています。

こうした流れを現場で体感していると、
「一難去ってまた一難」という言葉が、
そのまま当てはまるように感じます。

今回は、
医薬品の出荷調整が続く今の状況について、
薬剤師の立場から、淡々と書いてみようと思います。

ミヤBMの出荷調整から始まった流れ

今回の整腸剤の出荷調整は、
ミヤBMが入ってこなくなったことから始まりました。

薬局の現場では、
処方された薬が入らない場合、
代替となる薬を検討する必要があります。

ミヤBMが出荷調整となったことで、
代替として選ばれることが多かったのが、
ビオスリー錠やビオスリー配合散でした。

これは特別な判断というより、
「今ある中で、対応できる薬は何か」
を考えた結果として、
自然にそうなった、という印象です。

医師に対しても、
「出荷調整で入ってこないため、
代替として今薬局にあるのはこの薬になります」
と伝えるしかありません。

薬剤師の立場としては、
選択肢が豊富にあるわけではなく、
限られた中で調整している、
というのが実際のところです。

こうしてミヤBMからビオスリーへと
処方が寄っていきましたが、
その流れが続くことで、
次の問題が見えてくることになります。

代替にしたはずのビオスリーも足りない

ミヤBMが出荷調整となり、
代替としてビオスリーへ切り替えが進みましたが、
しばらくすると、そのビオスリーも
十分に入ってこない状況になってきました。

一つの薬が入らなくなると、
どうしても代替薬に処方が集中します。
その結果、
代替にしたはずの薬も足りなくなる、
という流れが起こります。

現場で働いていると、
この流れ自体は珍しいものではありません。

「今度はこれが足りなくなるかもしれない」
と予想しながら対応することも多く、
実際にそうなってしまうと、
やはり気持ちが重くなります。

ビオスリー錠やビオスリー配合散も、
そうした流れの中で
処方が寄っていった結果、
出荷調整の影響を受けることになりました。

特別なトラブルが起きたというより、
いくつもの処方変更が重なり、
少しずつ負荷がかかっていった、
という印象です。

こうして、
一つの出荷調整が次の出荷調整につながる、
「一難去ってまた一難」の状況が、
現場では繰り返されています。

そこに重なった、美容やネット上の噂

ビオスリーの出荷調整について考える中で、
もう一つ、気になっていることがあります。

それは、
ネット上で広がっている
「美容にいい」「ダイエットにいい」
といった情報です。

はっきりとした因果関係があるかどうかは、
正直なところ分かりません。
ただ、そうした情報が
以前より目に入るようになったのは事実です。

整腸剤は、
腸内環境を整える目的で使われる薬ですが、
それがいつの間にか
「飲めば変わる」「続ければ効果が出る」
といった、少し過激な表現で語られる場面も見かけます。

現場で薬を扱っている立場からすると、
そうした情報には違和感を覚えます。

もちろん、
整腸剤が合っている人もいますし、
必要な人にとっては大切な薬です。

ただ、
美容やダイエットと結びつけて
過度に期待されるような使われ方になると、
本来の位置づけから
少し離れてしまうようにも感じます。

そうした情報が拡散され、
処方や需要に影響している可能性も、
完全には否定できないのではないか。
現場にいると、
そんなことを考えてしまうことがあります。

普段の患者さんに渡せなくなるという現実

出荷調整が続く中で、
一番つらいと感じるのは、
普段から必要としている患者さんに、
いつも通りお薬を渡せなくなること
です。

「出荷調整で入ってこないんです」
そう伝えるしかない場面が増えています。

理由としては事実なのですが、
それだけで納得してもらえるとは限りません。
今まで普通にもらえていた薬が、
突然手に入らなくなるのですから、
戸惑うのは当然だと思います。

説明にはどうしても時間がかかります。
代替薬の話をして、
場合によっては医師に確認を取り、
疑義照会を行うこともあります。

その一つひとつは必要な作業ですが、
重なると、
時間も気力も削られていきます。

特にしんどいのは、
「本当に必要な人がいる」ということが
分かっている場合です。

この薬がないと困る。
この薬でやっと落ち着いている。
そういう患者さんの顔が浮かぶからこそ、
渡せない状況に、
どうしても歯がゆさを感じます。

何も起きていないように見える一日でも、
その裏では、
こうした調整が静かに続いています。

OTCがあると言われても、現実的ではない理由

出荷調整の話をしていると、
「ドラッグストアで買えるのでは?」
と言われることがあります。

確かに、
整腸剤はOTCとして販売されていますし、
選択肢が全くないわけではありません。

ただ、実際に価格を見ると、
「気軽に買える」と言える金額ではない、
と感じることが多いです。

保険が適用されない分、
どうしても自己負担は大きくなります。
インフレが進んでいる今の状況では、
その負担は、なおさら重く感じられます。

結果として、
「処方箋で出してもらえるなら、
そちらに頼りたい」
という気持ちになるのは、
無理もないことだと思います。

一方で、
そうした流れが続くと、
本当に必要な人にまで薬が行き渡らなくなる、
という問題も生じます。

ドラッグストアで購入できるものは、
できればそちらを利用してほしい、
そう思う場面もあります。

でも、
価格の問題がある以上、
それを簡単に勧められない現実もあります。

OTCがあることと、
それが現実的な選択肢になるかどうかは、
別の話なのだと感じています。

一難去ってまた一難が当たり前になっている現場

ミヤBMが出荷調整になり、
代替としてビオスリーに切り替え、
そのビオスリーも十分に入ってこない。

その間に、
説明が増え、
確認が増え、
時間が削られていきます。

一つひとつを見れば、
大きな出来事ではないのかもしれません。
それでも、
こうした状況が続くと、
現場では確実に負担が積み重なります。

出荷調整が起きるたびに、
調整して、
説明して、
何とか回す。

それがいつの間にか、
「特別な対応」ではなく、
日常の一部になっているように感じます。

一つ落ち着いたと思った頃に、
また次の出荷調整がやってくる。
その繰り返しの中で、
現場は淡々と対応を続けています。

解決策を簡単に出せる話ではありませんし、
誰かを責めたいわけでもありません。

ただ、
こうした状況が続いているということを、
薬剤師の立場から、
一度言葉にしておきたかっただけです。

一難去ってまた一難。
今の現場は、
そんな言葉が自然に浮かぶ状態にあります。